このこの超横長のタイヤみたいな円筒形の物体は、100年以上前にエジソンが蓄音機を発明した時の蝋(ろう)管=シリンダーと呼ばれる物です。レコードが今のような形(円盤=ディスク)になる前の録音メディアで、最も原始的なレコードってことですね。本で見たた事はありましたが、SP盤の蓄音機は見た事あっても蝋管蓄音機なんて博物館にでも行かないと聴く事なんてないだろうなと思ってました。
ところがこういう時代なんで、ついにデジタル・アーカイブ化も録音芸術の最初期の音源にまで進み、この時代の録音もどんどんデジタル化されているんだそうです。しかも著作権も切れてパブリック・ドメインになってるので自由にファイルをダウンロードして聴く事が出来るようになってる。エジソンが蓄音機を発明したのが1877年なので、ほぼその頃に発売されてた音楽が聴けるのです。僕が見つけたのでは1888年の音源ってのがありました。ざっと120年くらい前の演奏。
カリフォルニア大学サンタバーバラ校のドナルド・C・デビッドソン図書館の『シリンダー保存およびデジタル化プロジェクト』が有名で6000曲ほどアーカイブしているようですが、他にもいくつかのサイトで同じようなことをやってます。
>>National Park Service
今やプロダクトとしての音楽の話題はアナログ・レコードはおろかCDなどのパッケージはいずれなくなるだろうとかそんな話しかありませんが、これはデジタルによる音楽のアーカイブ化が進むことで、失われた超アナログ・メディアが形を変えて復活してるという素敵な話題。
当然のことながら100年以上前の音源なんでノイズもすごいし全くハイファイではないけど、100年以上前のラグタイムやボードヴィルの記録はすごく味があって感動的です。音が記録出来たってだけでもう魔法を見るように驚いてた時代のもの(人類にとってほぼ最初期の録音!)だから、その驚きとか喜びが伝わるような気がします。そしてなんといっても直接聴けるこれより古い音は存在しないってのもすごい。
こんなのCDにしてリリースしてもほんとごく一部の人しか興味を示さないだろうし、パッケージを作っても流通させるのも手に入れるのも大変だから、ウェブのこういう活用形は大歓迎ですね。いつでも、誰でも、どこからでもアクセス出来るという意味で本当のパブリック・ドメイン(共有財産)という感じがする。素晴らしいと思います。
下の写真はフランスのフランスの蝋管収集家、アンリ・シャモー氏が考案したシリンダーをデジタルファイルに変換できる機械「アーキフォン」。こいつを使ってバリバリアーカイブしてるそうです。
すげー。都々逸があるよ。
Posted by: いのうえ | Monday, 11 December 2006 at 00:02
ほんとだ。
Posted by: sstp | Monday, 11 December 2006 at 02:17