江ノ島のほど近く、辻堂西海岸にある閉鎖された団地に行ってきました。西海岸というのは住所のこと。すぐとなりには東海岸という住所があり、辻堂海浜公園のあるあたりです。この団地は江ノ島から続く砂浜が道路を隔てたところにあります。
周りに立つほかの団地より一棟あたりの敷地が広いのか、棟と棟の間がとても広く、そこだけでちょっとした公園くらいの広さがあります。近隣にはもっといろいろ団地群が立ち並んでいるのですが、フェンスで閉鎖されているのはその中のかつて公務員住宅として使われていた幾つかの建物。近々取り壊される予定になっています。
ここへ行ったのはたまたま先日腰越海岸へ遊びにいった時近くを通りがかったから。この団地がなくなってしまうと聞いてその前にどうしても見ておきたかった。なぜかというと、この団地は僕が生まれてから小学校に上がる前まで住んでいた場所だからなのです。
僕の家は両親ともに鹿児島の出身で、僕も小学校から高校卒業するまで鹿児島で育ったので出身は鹿児島ということにしていますが、生まれてから数年は父親の仕事の都合で海沿いのこの団地に住んでいました。
江ノ島のあたりにはよく遊びに行っていて近くを通る事は多いんですが、住んでいた家の下まで行く事はなかったので実際にそこに行ってみるとデジャヴのようなじわーっとした懐かしさがあってとても不思議な感じ。しかも現在は取り壊し準備の為に「国有地につき立ち入り禁止」の張り紙とフェンスで閉鎖されていて広い敷地の中には人っ子一人、犬すらもおらず時間がぴたっと止まったように見える。
確かに見覚えのあるこの場所に、30年前今の僕より10歳も若い両親が住んでいて、小さい自分が走り回っていたと思うとなんだかくらくらしました。。かつてそこには他にも何十世帯かの家族が暮らしていて、その中には僕と同世代に友達もいて一緒に遊び回ったりもしていました。彼らはみんなどこへ行ってしまったのか、、、というのも不思議。
今改めてこの団地を眺めても特に建築的に価値があるとも思えないし、取り壊しに反対するつもりは全くないんだけど、その団地と辻堂の浜がその時の僕にとっては世界の全てだったことを思いかえすと、自分の中の小さな一部分が失われてしまうような、とても複雑な寂しさがあったのでした。こういうのをサウダーヂというんでしょうか。。
センチメンタル・ジャーニーですね。
この団地はいつもSputnikに行く時に脇を歩いていて、ゴーストタウンのようだと思っていました。とてつもない規模の団地ですね。跡地には何ができるんだろう?
腰越海岸に行ったのですか?私の超地元です!そこの近くの中学に通っていました(笑)。私も日・月は実家に帰っていましたが、結局海には一度も行かず・・
Posted by: TO | Tuesday, 15 August 2006 at 10:23
問題なく立ってるときには別に見に行こうなんて思わないのに、無くなると聞くととたんに「行っておかねば!」となるんですね。
この団地の僕が住んでた家の前には当時(今も?)2つの別の小学校が並んで建ってました。それだけ子供が多かったんでしょう。おそらくベビーブーマー家庭を収容してた団地だったんでしょうが、少子化に伴い役目を終えたんじゃないでしょうか。
僕が生まれた時、うちの親が敷地に(勝手に)もみの木を植えたそうなんですが、みてみたら見事にデカくなってました、、が、、しっかり切り倒されて建物の前に置いてありました。。。(悲)
跡地はまだ決まってないみたいですが、環境は最高だし、駅からも歩ける範囲で物件としては悪くないので有効活用して欲しいもんです。
TOさん、腰越のあたりが地元なんですね。ってことはチビっ子の頃に同じところでよちよちですれ違ってたかも??知れないですねー。
Posted by: sstp | Tuesday, 15 August 2006 at 11:22
親が植えたもみの木が切られて置いてあった・・・・うー、切ない・・
しかし取り壊される前に見に行ってよかったですね。なんかそれで決別できるような気がする。
ほんと、当時あの辺りですれ違ってたかもしれないですよね!
Posted by: TO | Wednesday, 16 August 2006 at 11:10
凄く良い写真の数々。こんな偉そうな事は
言えませんが、そう感じました。
坂口さんのちょっと切なく懐かしい気持ちを
この写真から感じてしまいました。
僕も写真をもっと撮りたいと思いました。
生意気言って申し訳有りませんでした。
凄く好きな写真達です。
Posted by: Ryo | Thursday, 17 August 2006 at 01:26
TOさん
>親が植えたもみの木が切られて置いてあった・・・・うー、切ない・・
そうなんです.....相当にサウダーヂでした......。
Ryoくん>
この時は一日よく晴れてすごい熱さの残る夕暮れ時だったからなんかいい感じになっちゃったのかも知れないですね。もしこれうまく撮れてるんだとしたら、無欲の勝利ってやつでしょうか。
写真を褒められたのなんて初めてなんで(しかも写真家に!)びっくりしました(笑)。ありがとう。
Posted by: sstp | Thursday, 17 August 2006 at 22:22