今日は毎週火曜日の練習の前に、トルコ版『モロ・ノ・ブラジル』、『ブエナビスタ・ソシアル・クラブ』とも言われるドキュメンタリー映画、『クロッシング・ザ・ブリッジ』の試写会に行ってきました。
『モロ・ノ・ブラジル』ではフィンランドの映画監督ミカ・カウリスマキがブラジルを訪れ、『ブエナビスタ』ではライ・クーダーがキューバに行くという話。この『クロッシング〜』では、ドイツからノイバウテンのベーシスト、アレキサンダー・ハッケがトルコを訪れます。欧米人がエスニックを発見するというパターンが、この手の音楽ドキュメンタリーの定番になってますね。
見た感想を先に言っちゃうと、前の2つの作品に負けず劣らずかなり素晴らしいドキュメント作品だと思いました。その中でこの作品が興味深いのはブラジルやキューバというヨーロッパから明らかに遠く離れた国へ赴くのではなくて、比較的ヨーロッパから近いトルコというアジアとの境界をテーマにしているところでしょうか。
この距離感って、身近なところで想像するに東京から沖縄や奄美へ行くのと、埼玉へ行くくらいの感覚的な違い(?)なんじゃないかと思います。この映画が描いているのはヨーロッパ人からは近すぎて見えづらい部分。
ヨーロッパとアジアの境界に位置するトルコだけに、ここに現れる音楽もめちゃくちゃ多彩。伝統的なスーフィーやトルコ音楽だけでなく、バルカンに近いことからジプシー的な音楽も出てくるし、当然アメリカの影響であるヒップホップもあれば、Baba Zulaのようにマッド・プロフェッサーと一緒にトルコ音楽とダブをミックスする実験をしているバンドもあり、といった具合。
『ブエナビスタ〜』はキューバに行く事で、失われたピュアなラテン音楽を発見するという話でしたが、『クロッシング〜』がトルコで発見するのはすべてが混在しているという状況です。そのような様々な交通の痕跡が次から次へと現れる有様はもの凄く面白い。当然だけどこれは日本の混沌とはまた全く違った手触りのものです。
この映画はこういうエキゾチックな音楽に惹かれてしまう人は当然必見だし、僕のように興味だけはあるくせに腰が重くてなかなか海外になんて出掛けないアームチェア・トラベラーにとっても最適の映画だと思います。公開は来春からだそうです。しかしこういうのを見ると誰かそろそろアキバ以外のニッポンも発見してよ、という気がしないでもない。。。マンガ、アニメばっかりじゃなくて日本にもいろいろありますから。。
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