少し前に短い滞在だったけど屋久島へ行ってきた。作家の星川淳さんが住んでいたり、Chari Chariが屋久島をテーマにアルバムを作っていたり、行ってきたという友人が周りにもいたりして以前から興味はあったのだが、同じ県である鹿児島で育ったくせに屋久島には今まで行ったことがなかったのだ。
鹿児島の北埠頭(僕が通っていた高校の近く)からトッピーという水中翼船に乗って約2時間、屋久島の安房港に到着するとあらかじめ予約しておいたレンタカー屋さんが迎えにきてくれていた。ひとしきり説明などを聞いた後、帰りの船は違う港から出るので車の返却はどうすればいいのか尋ねると、港の駐車場に鍵をダッシュボードに入れたまま、ドアに鍵はかけず乗り捨てておいてくれればいいという。そんなんでいいのかと聞き返すとレンタカー屋のおじさんは、盗まれたってどこにも行く所ないからねといって笑った。
年間366日雨が降るといわれる屋久島。天気は案の定雨だった。東京とは比べるべくもないが、南の島とはいえこの時期はやっぱり寒い。港には何もないので、食事でもしようかととりあえず車に乗って出発するものの見事になにもない。世界遺産に登録されてからだいぶ観光地化が進んだようなことは聞いていたけれども、実際に行ってみるとシーズンオフであることを考えてもぜんぜん大してことはなくてなんだかほっとした。ガイドブックを見ながら行ったレストランで、屋久島の地のものを使った薬膳料理を食べた後、道すがら滝でも見ながら(屋久島は海から突然高い山がそびえ立つ地形なので滝がやたらと多い)宿へ向かうことにした。一度これから行くという連絡を宿に入れると、そちらは雨ですか?と聞かれる。小さな島なのに東側と西側では天気がぜんぜん違うことは珍しくないのだそうだ。これも九州で一番高い山である屋久島の宮之浦岳のせいだが、宿のある反対側は晴れているとのこと。
それから島の西側の林道を2時間ほど走るものの、人家もなければすれ違う車の1台もなし。会うのはひたすら猿と鹿のみ。屋久島は猿2万鹿2万、人1万5千というくらいで人よりも猿と鹿のほうが多く、いきおい交通事故も人身より猿とか鹿相手の方が多い。当たり前だけど、当たり前のように道の真ん中にいたりするので気をつけないと本当に危ない。時々道ばたには標語が立っているのだが、よく見ると「気をつけろ!獲物の向こうにヒトがいる!」。交通標語ではなくて猟りのためのものだった。
そうこうしているうちに雨もやみ、宿のある目的地の永田いなか浜に近づいてきた。夏にはウミガメが産卵にくる浜として有名ではあるが、ここも本当に小さな集落がある他はなにもない。その集落を抜けてまたちょっと離れたところに「送陽邸」というその日泊まる宿はあった。
なんとなくつづく。
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